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●ボリビアは多くの方にとって馴染みのない国だ思います。どこにあるのか、直ぐに頭で描けた方は、南米通ですよ。
●南米には海に面していない国が2つあり、その1つがボリビアで、大陸のほぼ中央に位置しています。 首都はラパス。世界で一番高いところにある首都です。人口は約8百万という小さな国で、南米では最貧国の1つでもあります。もし地図が手元にあったら、ご覧ください。
●ボリビアは、以前は太平洋側に港を持っていましたが、チリとの太平洋 戦争(第2次対戦とは違い,1879年-1883年にかけて、チリとボリビア/ペルーの間で行われた戦争)で負けて、チリにそこを取られてしまいました。それ以来、海に面していない国になった訳です。
●それでも、いつの日か再び港を手に入れて海に出れる事を夢見ており、今でも首都のラパスには、海軍省が存在し、 立派なビルに入っています。でも、海のない海軍、とは皮肉ですね。いったいどこで訓練するのでしょうか。
●なんと、世界で一番標高の高い湖、チチカカ湖に軍艦(といっても小さいですが)を浮かべて、訓練しているのですよ。涙ぐましい、執念です 私も、この湖へ観光で行った時に、2隻の船を見ました。軍艦、と言うより、モーターボートに毛が生えた程度の感じでしたが。
●ビジネスの話に移る前に、もう少しボリビアについてお話しましょう。多くの方が想像もつかないと思う事、日本からとても遠いところにある国の1つである事、そしてボリビア的特徴を是非知ってもらいたいからです。
●又、地図をご覧ください。首都はラパス、スペイン語で平和と言う意味です。ここは世界で一番標高の高い首都で、海抜約3700mのところにあります。
富士山の頂上の辺りにある、と思ってください。さらに、ラパス空港は、もっと高く、なんど約4000メートルのところにあり、その名もエルアルト(スペイン語で、高い、という意味)と言います。
●ここへ行ったことがある読者の方(殆どいないと思いますが、もしいたら、是非お便りください)なら、わかるでしょう。 エルアルト空港に飛行機から降り立ったあの瞬間のめまいが。この空港、ボーディングブリッジ(空港待合室のあるゲートから、
飛行機まで直接歩いて行くことの出来る可動式通路で、普段皆さんも使っている)などありませんから、昔の様に、飛行機からはタラップでおります。
●外の空気を吸った瞬間、空気がうすい、と直感します。そうですよね。飛行機の中は加圧され、地上より少し上空にいるレベルに設定されていて、空気も人間が苦しくないようになっています。その中から、いきなり、富士山より高いところへ放り出されるのですから。
●とにかく、コツは、ゆっくり一歩一歩く事。絶対に急いではいけません。30秒もすると酸欠症状が出てきます。 息を深くゆっくり吸います。体がだんだんに重くなってきますが、それで正常です。でも苦しい!
●このラパス空港、パイロットにとっては、とても手ごわいところです。高度が高いので空気が薄く、エンジンのパワーが落ちます。 離陸時に飛行機が十分な浮力を得るには一定速度に達する必要がありますが、ここラパスでは、薄い空気の為、普段より長い滑走距離が必要になってきます。エンジンパワーが弱いのですから当然です。
●ラパスから飛び立つ飛行機に乗ってみると分かりますが、飛行機はまず滑走路の端でブレーキをしっかりかけ、エンジンを最大出力にします。 そして、十分に力をためてから、発進。やっと滑走し始めますが、走っても、走ってもなかなか離陸しません。未だか、未だか、このままでは滑走路がなくなるのでは、と思っていると、やっと離陸になります。
●更に怖い事に、この空港は街より高い所にある為、滑走路の端から町へ向かって崖になっていて、飛行機が離陸した途端、地面が落ち込んだ地形になっています。もし、飛行機のエンジンが滑走中に故障して、滑走路をオーバーランしたら?とか、何かの理由でエンジンパワーが足らず、テイクオフできなかったら等と想像しただけで寒気がしてきます。当時私は年に4-5回、この経験をしていました。
●さらに、アメリカの航空会社などは、パイロットが高度による酸欠状態になり、操縦に支障が無い様、到着から出発までの間、酸素マスクの着用を義務付けています。
●想像ください。自分の乗っている飛行機のパイロット全員がコクピットの中で酸素マスクをつけている様子を。でもそのくらい空気が薄いのです。
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