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@中国政府の経済舵取りに学ぶ
中国の温家宝首相は14日、全国人民代表大会(全人代)閉幕後に記者会見し、下落傾向が鮮明になっている不動産価格について「合理的な水準まで下がったとは、まだとても言えない」と語り、現行の価格抑制策を堅持する方針を表明した。世界的には一人勝ちが続く中国経済である。象徴的な出来事は、昨年日本を抜いてアメリカに次ぐ、世界第2の経済大国になった事だ。日本人の中には感情的に(中国には負けたくないとの)、悔しい思いをしている方もおられるようだが、人口が日本の10倍なので、GDPで第2位であっても人口辺りではまだまだ世界のランクは下の方である。ただ、日本が戦後一貫して目標としてきたGDPで他国より上へ上へというやり方が、正しいのかどうか、大いに議論がある。欧州の主要各国は日本よりGDPでは下に位置するが、果たして日本の方がより豊かな社会、生活をより多くの人が享受できているか、という質問に答えに窮するであろう。経済発展が著しい中国に対して、この2年来通貨である元の切り上げ圧力が世界からあるが、中国政府は一貫して拒否している。中国に実体経済力はそこまで高くなく、元の切り上げによる中国製品の価格上昇が中国経済の成長スピードの足を引っ張る事になる、それは認められない、との考えに基づく。ただ人民元相場に関しては「制度の改善を続け、上下両方向に変動が大きくなるようにする」と述べ、変動幅を拡大する考えを示した。一方国内では上海、北京、広州等の都市部と農村部の経済格差が大きな問題となっている。中国の地方を旅行すると、どこに中国の近代化があるの?という光景を当たり前のように目にする。その結果地方での仕事より都市部での仕事の方がより金になるので、多くの農民が都市部に押し寄せ、結果仕事に就けない人が増える。今年の旧正月は地方で正月を家族と迎えようとお里帰りする人で、どの交通機関も溢れた。同時に仕事に就けない人たちが増える事で、都市のスラム化が始まる。中国の代表的な都市では裏通り等へ入るとそのような光景が見える。マクロでは急速な発展、世界の工場から世界最大の市場へ、アジアにおける軍事力の誇示などで順調に見える中国であるが、ミクロで見ると特に国内では想像がつかないくらいの問題を抱えている。現政府はその事を熟知しているようで、国外に対しては強気と威厳を保ちつつ、国内問題を解決しようとしている。ただその道のりは遠い。この国が、所謂世界並になるにはまだまだ時間が必要である。
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