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@東電再建問題
東京電力の新経営陣が決まった。新経営陣の当面の課題は、もちろん原発関連の問題の処理と東電が企業としてどの様に再建をしていくかである。政府が国有化して再建していくのが基本方針であるが、経営再建に向けた総合特別事業計画が9日、決まった。政府の原子力損害賠償支援機構が1兆円を出資し、家庭向け料金を10%上げて2014年3月期に経常黒字化をめざす。ただ、その前提は13年4月に柏崎刈羽原発を再稼働することで、現状ではハードルが高い。公的資金を返済する時期も見通せず、再建への道筋は薄氷を踏む危うさをはらむ。東電は今年3月までに全17基の原発が運転を停止したため、火力発電の燃料費が膨らみ、12年3月期に7080億円の単独最終赤字を見込む。特に今年の上四半期は石油価格が世界的に高騰していた時期であった為、このような大きな赤字になった。2年後に黒字を回復する計画の柱は値上げと柏崎刈羽の再稼働だ。計画は13年3月期に企業向け16%、家庭向け10%の値上げを盛り込み、年6500億円の増収効果を見込む。原発は1基再稼働すれば燃料費を年750億円節約できる。柏崎刈羽には7基の原発があり、すべて再稼働すれば年5000億円規模の収支改善になる。これが再建の基本シナリオで、その為には、現在7月からと言われている電気料金値上げをどうしても達成しなければならない。国民も、原発反対、電力値上げ反対では野党と同じで、ではどうするのか、に対して責任が無さ過ぎる。認可する枝野幸男経済産業相は9日の会見で「最大限の厳しい査定でさらに値上げ幅を圧縮できないか検証する」とクギをさした事は正しいが、ある程度の値上げは仕方が無いであろう。東電のコスト削減案をもっと広く国民へ分かり易く公開して、理解を得る必要がある。今の段階では、電力会社の数字は信頼できない、最大の努力をしているのか、子会社、孫会社の整理はどうするのか、無駄な資産はいつ売却するのか、発電と送電の分離はどうするのか、等等、国民が知りたい事はたくさんある。それらに対して、善処する、最大限の努力する、という常套句では満足はできない。データを第3者に検証してもらって、その上で方針をとことん説明してもらわない限り、国民の不安と不満はなくならない。これだけ社会の注目を集めている件であり、優秀な組織である筈の東電がこれらの説明をできないのか、筆者には理解できない。東電レベルであれば、仕事のプロジェクトを行う際に普段やっている事である。必要あればコンサルティングカンパニーを入れて、検証、提案をやっても良いであろう。結局のところこの件も日本的に曖昧さを残して処理されそうであるが、これではますます日本の行く末が懸念される。
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