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@アップルに見る、現代風製造業
アップルの時価総額が40兆円を超えたという記事は世界を飛び回ったが、iPhoneやiPadというハード商品とソフト戦略をうまく組み合わせたビジネスモデルにとどまらず、もの作りの考え方を根底から変えて成功している。ファブレス、という言葉をご存知だろうか。翻訳用語にもあるが、Fabric
less、が英語で、要するに製造工場を所有しない製造会社である。長年、日本に代表される伝統的製造業は、自社工場をもち、そこに技術を集め、系列工場をも巻き込んでチームで行われてきた。製造技術が競争力の源であり、それを社外秘としてより良い製品を作ってきたのである。それに対し、ファブレスというのは、大規模投資が必要な製造設備を持たないで、アウトソースするモデルだ。アップルのiPhone、iPadはその典型例である。アップルもマックコンピュータは、以前カリフォルニアのシリコンバレーのクパチーノ市に製造ラインをもっていた。80年代に私も何度がビジネスで訪問した事がある。その後、カリフォルニア内でアウトソースを始め、さらに低コストを求め台湾、中国の製造メーカーにアウトソースをし出した。有名なフォックスコンという台湾系パソコン製造メーカーである。この辺りから、アップルは自社での製造を絞り、今では設計の一部をも含め、製造のすべてをこれらのアウトソーシング企業へ委託している。その理由はズバリ低コストの追求だ。自分で製造設備への投資を行うと、それを維持していく必要があり、メンテコストや、古くなっても減価償却が残っている機械を使い続ける必要が出てくる。日本国内の製造業はそれで苦しんでいる(古い機械なので生産性が悪い)。確かに、一部の匠の技、という技術はまねが出来ないが、スマホやパソコンのように低価格が求められ、大量生産を行う製品は匠の技術等は無い方が良い。それに徹底したのがファブレス製造業だ。
最近ではアパレル業界でもこのビジネスモデルが力を発揮している。スペインのザラ、スウェーデンのH&M、日本ではユニクロ等がファブレスのモデルを採用し、大きなビジネスを育てている。
@しまむら最高益
衣料の優良企業である、しまむら、が今期最高利益を計上する。以前より低価格衣料品店チエーンを運営しているが、現在店舗数は1237店。ユニクロの派手さは無いが、その経営は手堅いものがあり、しまむらで買い物をした方はお気づきであろう。サービス、低価格を徹底する態勢、そして思ったより質の高い製品等、お客様が何度でもリピートできるような仕掛けがある。いままでは出店も低価格を考えた立地であったが、最近では大都市圏やスーパーの店内店舗などへの出店も目立ち始めている。
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