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@経済の流れの潮目の変化は本物?
株高、円安、金安傾向が鮮明になってきた。前から述べている様に、米国における経済回復への期待(大統領選挙の年)、欧州ではギリシア債務危機の当面の回避が出来た事、そして日本では日銀の追加金融緩和が、この傾向を後押ししている。リスクを避けてきた資金が株式市場へ流入し易くなり、金に向かっていた資金の流れが大きく変化している。同時に今まで売られすぎていたドルとユーロが買い戻され、その反動で円が売られている。金価格に関しては、つい最近1オンス1900ドル台まで値上がったのが、今では1600ドル台である。この潮目の変化、どこまで続くのか?確かに世界中の投資家は、株式市場へ資金を入れる口実を探していたのがこの数ヶ月であった。ただそれを阻む理由が強すぎたため、手を出せないでいた。アメリカの失業率、住宅着工率、等の指数の悪化、欧州のギリシア、イタリア、スペイン債務危機問題、それに伴う新興国の経済成長減速、など問題が山積していた。一方円に関しては、日銀の追加緩和政策により金利が低下、投資のうまみが減った事で、円売りに繋がっている。結果、日本の輸出企業の収益が改善され(円安の為)、それらの企業の株高になっている。このように風が吹けば桶屋が儲かる、的に全てが連鎖している訳であるが、1つが崩れると、他も崩れる事も事実である。同時にアメリカのQE2、日本の追加緩和で、市場には資金が沢山供給され、溢れている事も事実であり、その副作用として石油価格が急上昇している。このように肯定的材料と不安材料が混在、誰も先を読めないのが最近の経済の流れである。
@アップルの配当
iPad3の新発売もあり、昨年来アップル社が何かと話題をさらっている。昨年は創業者のスティーブジョブス氏の死亡も大きな話題であった。そのアップルが今度は長年行っていなかった株主配当をする、というニュースが入ってきた。現在アップルが持っている現金は8兆円と言われている。スティーブジョブス氏は配当をしない経営者として有名で、株主の意見にも耳を貸さなかった。一般的には利益成長が鈍った企業が配当や自社株買いをする事が多いが、アップルの最近の成長を見る限りその必要は全くない。株主還元してもアップルの企業価値は上がらない、というのが長年スティーブジョブス氏が言い続けてきた事。それよりその現金を投資に使い、新製品、新技術を出し続ける事で企業価値が上がり、株の価格そのものが上がる、という理論であった。新経営陣はその方針を変えようとしている。カリスマ経営者であったスティーブジョブス氏のもとには彼と一緒に世の中を変えよう、金儲けは二の次、という幹部が沢山いた。一方、グーグル、フェイスブックを始めシリコンバレーには、これから成長が期待される会社が沢山あり、人材が不足している。アップルもカリスマ経営者がいなくなった現在、うかうかしていると幹部社員が抜けていく危惧を持っているのであろう。彼らをつなぎ止める上でも、アップルの自社株を持っていれば儲かりますよ、会社はそれに報いますよ、というメッセージを新経営陣は具体的に示す必要があるようだ。
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