@フェイスブック上場への疑惑
フェイスブックがアメリカのナスダックで上場され大きな話題を呼んだのは数日前である。アメリカのITの元気な証拠であり、創設者のザッカーバーグ氏のアメリカンドリームの達成を記念する行事でもあり、設立数年で、時価総額ではグールグルを超え、日本のトヨタに次ぐ様な巨大企業が株式市場に誕生したばかりであった。ところが、今日付けの世界中のメディアが伝えているところによると、この上場に疑惑があるようだ。ロイターによると、上場事務を取り仕切る幹事証券である米モルガン・スタンレーのアナリストがフェイスブックの上場直前に売上高見通しを下方修正。別の幹事証券のJPモルガン・チェースとゴールドマン・サックスも投資家説明会の期間中に見通しを変更したという。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)は業績の見直しを把握していた投資家とそうでない投資家があったと報道。重要情報の伝達で不公平な状況が発生していた公算が大きい。つまり不公正な株式公開と言っているわけである。折角日の出の勢いの株式公開であり、暗いニュースの多い世界経済の中で資本主義経済の発展の象徴と見られたイベントが一転して、悪い結果にならない事を切望する。この噂を反映して、22日の米株式市場で、フェイスブック株の終値は前日より3ドル(約9%)安い31ドルちょうどで取引を終えた。上場後の株安が止まらず、個人投資家は損失を確定するための売りを出してさらに株価下落が進む構図になっている。市場には上場にかかわった証券会社や投資銀行の判断が、株価下落を招いているとの見方が浮上してきた。フェイスブックは主幹事証券との協議を受け、上場2日前に売り出し株式数を25%も上積みした。市場で売買される株式が増えたために需給が悪化し、株安につながった可能性がある。上場初日の取引所の“失態”も追い打ちをかけているようだ。ナスダック市場では18日、システム障害で取引開始が遅れた。売買が成立したかどうかを知るのに数時間もかかるという混乱で損失を抱え込んだ投資家もいる。この様に、世界最大、世界最速、世界の1/6の人が利用している、という世界で一番の会社の株式上場劇が一転して、暗雲がたれ込み、機関の調査が行われるという事は悲しい事である。通称モルスタ、GSと呼ばれる米投資銀行であるが、今までにも強欲から数々の問題を起こしてきている。マネーゲームの中心にいる金融機関で、アメリカ政府とのつながりも深い。リーマンショックを経てもまだ懲りないのか、とため息が出てくる。
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